100年に一度と言われる経済危機。世界経済の構造そのものが転換期を迎えているとの声も聞かれます。その一方で、「100年に1度と言われても、それほど実感がわかない」という人も少なくないようです。
1973(昭和48)年10月、第四次中東戦争が勃発。これを受け、石油輸出国機構 (OPEC)は原油価格の70%引揚を決定しました。さらにアラブ石油輸出国機構(OAPEC)も原油生産の段階的削減を決定。石油価格は急騰し、先進工業国の経済は未曾有の危機に見舞われました。第一次オイルショックです。
日本では翌1974(昭和49)年、消費者物価指数が23%上昇。「狂乱物価」という言葉が生まれました。ガソリンスタンドの日曜休業、デパートのエスカレーター運転停止、深夜のテレビ放送の中止等々、まさに経済危機が人々の暮らしそのものに深刻な影響を及ぼしたのです。
インフレになれば、モノ(商品)の価値が相対的に高まります。いくらお金を出しても商品が品薄であれば購入するのは難しくなります。逆にモノ(商品)は、極端に言えば今日より明日、明日より明後日の方が価値が上昇するわけですから、「買い占め」「売り惜しみ」をする不埒(ふらち)な業者も現れることになります。第一次オイルショック期には、原油価格の高騰とは直接関係ないはずのトイレットペーパーや洗剤が「買い占め」「売り惜しみ」の対象になったと言われています。全国の小売店では、トイレットペーパーが店頭に並ぶやいなや大勢の客が押しかけて“ペーパー争奪戦”を展開する光景が見られ、価格も急騰しました。この事態に政府は「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」を制定。トイレットペーパーを同法に基づく特定物資に指定し、標準価格を定める措置を講じたのでした。
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